下肢静脈瘤とは、足の静脈が拡張して膨らんでくる病気で、様々な症状を引き起こします。
まず始めに、足の静脈について説明いたします。
心臓から送り出された血液は、動脈、毛細血管を通って全身に行き渡り、その後、静脈を通って再び心臓に戻ってきます。その間、血液はからだに必要な酸素や栄養を組織に供給するとともに、組織から老廃物を受け取って運ぶ働きもしています。
足(下肢)の血液の流れも同様です。動脈が足の中心を貫くように走り、指先まで血液を供給しています。その途中、多数の枝が出て、筋肉や皮膚に分布しています。
筋肉に供給された血液は、動脈と同様に足の真中を貫くように走る「膝窩静脈」「大腿静脈」を通って心臓に戻ります。また、皮膚に供給された血液は、皮下を走る「大伏在静脈」と「小伏在静脈」を経由して、足の付け根から「大腿静脈」に、膝の後ろから「膝窩静脈」に流入した後、心臓に戻ります(図1、図2)。その途中でも「膝窩静脈」「大腿静脈」に流入する連絡路があります(「交通枝」と呼ばれています)。
下肢静脈瘤の患者さんの大部分は、「大伏在静脈」や「小伏在静脈」が拡張して膨らんできたものです。